「司法における民間人の活用」 豊島 秀郎 会員
司法における民間人の活用
1 この表題では、裁判員裁判を連想される方も多いと思いますが、私の頭にあるのは、調停事件(例えば、離婚、相続事件、
賃料増減事件)における調停委員、簡裁の裁判官の横に座っている司法委員、地裁の専門委員などのことです。
2 家裁事件は、多くの場合、調停前置であり(裁判をする前にまず調停をする必要性がある。)、調停委員は、裁判官1人と民間
委員2人との3人制です。しかし、通常、裁判官はでてきません。民間委員は、ほとんどの場合、素人です。彼らは素人ですから、
何を言い出すかわかりません。資質はひどいと思います。
3 賃料の増減についても、調停前置ですから、当事者はまず、調停の申立をします。
私も、平成25年に今のビルに入居し、平成29年に40%の賃料増額を求められたので、一切交渉せず、調停の申立をしました。
弁護士は、商売柄、土地の値段はある程度わかるのですが、ビルの賃料は、ビルの新しさ・古さなどの要素もあり、あまり分か
りません。ただ、当時でも、40%の増額は論外でした。
賃料増減の調停では、今は、通常、不動産鑑定士が調停委員に入っています。昔は、ここで、鑑定という話になって、費用30~
50万円がかかります。しかし、利用の仕方次第かもしれませんが、不動産鑑定士が鑑定という手法ではなく、公平な立場での、
意見を述べるという方法があります。したがって、これにしたがって、和解をすればよいわけです。私の場合も、7%の増額で話し
がつきました。
ちなみに、不動産鑑定は、公平な立場で作成された場合に初めて検討する価値のあるものです。鑑定は、係数を少しいじくれば
全く異なった結論になりますから私的鑑定に信用性などありません。私の上記の40%増額の提案も私的鑑定に基づくものです。
賃料増減については、皆様も直面する場合があると思いますが、このような形での調停の利用もよいかもしれません。
4 地裁での専門委員で、よく登場するのは、一級建築士です。これも当たり外れが大きく、司法手続であるべき、証拠、検証にもと
づいていないことを述べたりします。私は、1年前に、一級建築士である専門委員があまりにひどいので、専門委員忌避申立を
し、事実上、認められたことがあります。
5 簡裁にも、司法委員という民間人が採用されています。これも当たり外れが大きいです。