私の仕事から(意匠権の活用について) 福島 三雄 会員
今日は、私の仕事についてお話致します。私は、弁理士であり特許事務所を運営しています。
私の仕事は、特許、実用新案、意匠、商標の分野を中心業務としており、たとえば、新しい製品を開発した顧客から、その製品を模倣品から守るためにどうすればよいかという相談に乗ったり、どうやって模倣品を排除するかという相談に乗ったりします。
たとえば、新しいフォークリフト用のタイヤを開発したとの相談を受けた場合を想定しますと、まず、従来のタイヤと比べてタイヤのどこにどんな違いがあるのかなど機能的な面について詳しく聞きます。そのうえで、特許の可能性を検討します。
合わせて、そのタイヤが形状において従来のものと違いがないかを検討し、意匠として登録の可能性があるかを検討します。
このとき、普通の意匠出願を提案することもありますが、最近は部分意匠の出願をすることをよく提案します。
部分意匠の登録制度では、特徴ある部分を抽出して権利化することができ、その特徴部分が同じであれば、他の部分において違いがあっても権利が及ぶ、便利な制度です。
フォークリフト用のタイヤでは、クッション性を高めるための穴の形状に着目して権利化することが可能です。
それから、意匠の権利がどこまで及ぶかは、裁判での争点ともなります。このため、あらかじめ類似する意匠を登録しておく制度として関連意匠制度というのがあります。
この制度も意匠権を強化するうえで便利な制度です。
これら、部分意匠、関連意匠の制度をうまく活用することにより、意匠権による強固な保護を図ります。
そして、意匠権による保護には、多くの利点があります。利点の第一は、特許に比べて権利化が早いことです。第2は侵害品との対比が容易であり、模倣品を税関で輸入差止することもできます。第3に権利期間が25年と十分長いことです。
これからも特許や商標はもちろんですが、意匠権も大いに活用して、顧客の事業の発展に貢献したいと思っています。