国際ロータリー第2660地区 山本 博史 ガバナー
1 はじめに
ロータリーの主役は各クラブであり、また一人一人のロータリアンです。このことに異論はないと思います。しかし、ロータリー活動が全世界的なものである以上、各地区の特性を活かしつつも、皆がロータリーの目的に向かって足並みをそろえる必要があります。国際ロータリー(以下「RI」と略称)はロータリー全体を管理するための組織であり、その管理のために各地区に派遣されているのがガバナーです。この度、貴重な機会をいただきましたので、RIの方針、今RIで議論されていること、そして当地区の方針についてお話させていただきます。
2 本年度のRIのテーマと目標
本年度バリー・ラシン会長(以下「ラシン会長」と略称)のテーマは「BE THE INSPIRATION~インスピレーションになろう~」です。インスピレーションという言葉は、ひらめき、思いつきといった意味だけでなく、周りの人々に生気を与える、息吹きを吹き込むという意味があります。
ラシン会長は本年6月のトロント国際大会のスピーチで「私達は手を取り合います。なぜなら協力すれば一人よりもずっと強くなれると知っているからです。私達は行動します。なぜならロータリーは夢想家ではなく、実行する人の集まりだからです。」と語りました。トロント国際大会でよく見かけた三つの標語「TRANSFORM…変えていこう」「PEAPLE OF ACTION…世界を変える行動人」「CONNECT…ちからをつなごう」は、このラシン会長のスピーチのエッセンスです。
この「インスピレーションになろう」というテーマはラシン会長の独創ではありません。ロータリーの根幹ともいうべき「ロータリーの目的」(RI定款第4条、標準ロータリークラブ定款第5条参照)を踏まえ、RIが2010年に策定したロータリー戦略計画の「ロータリーの使命」や「中核的価値観(コア・バリュー)」、そしてRI理事会が2017年7月に策定した「ロータリーのビジョン:私たちロータリアンは、世界で、地域社会で、そして自分自身の中で、持続可能な良い変化を生むために、人々が手を取り合って行動する世界を目指しています。」等、これまで積み重ねてきたものの実践を働きかけるものです。
ラシン会長は、本年度のテーマを実現するため、「クラブのサポートと強化」「人道的奉仕の重点化と増加」「公共イメージと認知度の向上」という三つの優先項目を具体化する11の目標を打ち出しました。また、目標として掲げられていませんが、ラシン会長はトロント国際大会の閉会式のスピーチでローターアクトを重要視し、その数の倍増を求めました。もっとも、このローターアクトについては、海外と日本とでは、RACのおかれる状況が異なることもあり、当地区の実情にあったRACのあり方を検討し、提案するに留めるつもりです。
RIが今後目指す方向については、①ポリオ撲滅の早期実現、②会員増強と会員の高齢化ストップ、③ロータリー財団の拡大、④公共イメージと認知度の向上、⑤ポリオ撲滅後のテーマの模索と、より強力なパートナーとの協力関係の構築の5項目がキーワードとなります。この点については、今後もできるかぎり皆様と情報を共有化していきたいと思います。
3 2660地区のビジョンと本年度の方針
最近のRIの方向性をふまえ、我々2660地区の歴史、価値観、組織風土を大切にしながら各クラブが、そして地区が発展していくよう、片山ガバナー年度、本年4月に以下の地区ビジョンを策定し、また2017-18年度から2021-22年度に適用する地区中期5カ年目標を列挙しています。紙幅の関係上、地区中期5カ年計画は割愛しますが、重要な目標ですので、地区ウェブサイト等で是非ご確認ください。
■私たち第2660地区はRIテーマを理解し、地域の特性にあった活動をすることによ
り具現化します。
■ロータリーの原点である親睦と職業奉仕を根幹とし、世界及び地域社会で良い変化
を生み出します。
■それぞれが「魅力ある・元気ある・個性ある」クラブになる事を目指します。
ラシン会長が掲げるテーマや目標、そして前記2660地区のビジョンを踏まえ、当地区の本年度の方針は以下の10項目です。
①ポリオ撲滅への協力をお願いします。
②ロータリー賞の受賞を目指してください。
③ロータリー財団と米山記念奨学会への協力をお願いします。
④会員基盤を増強してください。
⑤ロータリーのIT化への協力と公共イメージ向上へのチャレンジをお願いします。
⑥戦略計画を活用し、クラブの中長期ビジョンを策定してください。
⑦新IM内の親睦と情報交換を推進してください。
⑧ハンブルク国際大会、地区大会、地区事業への積極的な参加をお願いします。
⑨ロータリーデーにご参加ください
⑩地区のスリム化、効率化、運営の合理化、財務ルールを徹底します。
いずれも行動、実践をともなうものであり、皆様の積極的な活動を期待します。
最後に、当地区のクラブ運営のあり方ですが、2016年の規定審議会で運用ルールが大幅に緩和されたことにより、ネットで例会を行うクラブの名称から「E」という文字が消え、他の一般のクラブと同じ位置づけとなりました。世界では、ロータリアンの自宅やコーヒーショップを例会場とする、ある企業や家族の一員であれば例会に参加できるというクラブも現れています。例会に出席するために長時間の移動が必要、あるいは人の活動範囲が広がり、同時刻に同じ場所に集まることが難しいという人たちもいます。他方、ジェネレーションギャップとでも言うべき現象も起こっています。聞くところによると、ある新しいクラブの若い会員が、東京RCの帝国ホテルでの例会に短パンでメイクアップに来たということです。この珍事に、大半のロータリアンは常識とTPOの問題だと考えると思いますが、中には、それもダイバーシティだと言う方もいます。日本のロータリーの今後の発展を考えると、他人事として済ませてしまうのではなく、自分達自身の問題として真剣に考え、我々の意見をはっきりと述べていく必要があるのではないでしょうか。
末尾になりましたが、会員皆様の益々のご発展とご健勝をお祈りし、ガバナースピーチとさせて頂きます。ご静聴ありがとうございました。