「AIの話」 ~仮想通貨のお話~ 玉置 栄一 会員
仮想通貨については、資金決済法第2条5項で定められていますが、簡単に言えば、開発者によって発行され、特定の仮想コミュニティのメンバー間で流通する電子マネーの一種といったところでしょうか。
新興企業がIPOの代わりに仮想通貨を発行(ICO)して、資金調達の手段として利用されていると報じられています。ICOで調達した資金は、返済義務を負わない上に、株主権も存在しないため、発行者にとっては魅力的で、購入者には将来的な値上がり期待権しかないことに注意が必要です。ICOで獲得した資金は、税務的には全額益金になると思われますので、課税面での対策も必要となります。
最近、大手仮想通貨取引所にハッカーが侵入し、預けられていた仮想通貨が流出する等、信頼性への担保が追い付いていない状況にあることも事実と思われます。
また、仮想通貨取引を個人で行う場合、値上がりした仮想通貨を換金したり、他の資産の購入に充当する場合、雑所得として課税される一方、損をした場合には、他の所得との損益通算ができないうえに、損失の繰り越しも認められていません。
仮想通貨は、FX取引同様、証拠金取引も行われていますが、FXのような制限条項が法的には規制されていません。そのため、高い倍率のレバレッジを適用すれば、大きく儲けるチャンスがある一方、一瞬のうちに多額の借財を背負うことにもなりかねないというリスクも併存します。
仮想通貨取引は、新しい取引なので、不透明な部分が大きいため、取引に参加するに当たっては、リスクを十分に考慮することが望まれます。