「Romanticが止まらない」 林 裕之 会員
人生において、いつ、どんな事に興味を引かれるか、それは突然やってきます。私は伊丹空港で「知れば知るほどおもしろい宇宙の謎」という本に出会いました。その話をします。
テーマは、①宇宙はでかい!②ブラックホールとは?③ロマンティックの3つです。
ビッグバンは138億年前におこったと言われています。そして今でも広がっています。
宇宙には無数の星があります。我々の地球のある銀河系は、直径約10万光年の大きさがあり、1000億個の恒星があります。お隣の銀河系であるアンドロメダ銀河は200万光年離れています。宇宙的には衝突しそうな近さです。理論上、観測できる範囲は500億光年ですが、その範囲には我々と同じような銀河が約1000億個もあります。
恒星の成り立ちですが、最初はガスの塊で、そのほとんどは水素です。水素ガスが濃くなって核みたいなものができてくると、引力でどんどん集まってきます。水素が集まって全体の質量が大きくなってくると、中心部の圧力が大きくなり、どんどん温度が上昇します。そして、ついに核融合を起こし、水素がヘリウムになります。この核融合により、様々な電磁波が放出され、可視光もでます。このようにして、恒星となります。
物質は原子から成りますが、原子は、原子核と周辺を回る電子から成っています。そして、原子核は陽子と中性子から成っています。水素同士が核融合して、陽子が2個になってヘリウムになります。そしてヘリウム同士が核融合して陽子が増えていき、酸素、炭素という具体に進み、最終的には鉄になります。鉄が一番安定しているらしいので、これ以上の核融合は起こりません。
身近な恒星である太陽も同じように核融合し続けています。太陽は誕生してから46億年と言われており、1日に6億トンの水素が核融合していますが、未だに約70%が水素、約28%がヘリウムです。
太陽は、直径140万km(地球の109倍)、質量は200億トン(地球の33万倍)で、太陽系に存在する質量の99.86%を占めており、その重力は太陽系全体に及んでいます。
太陽程度の質量だと、あと50億年は核融合し続けます。そして水素がヘリウムに変わると熱源を失って収縮し、さらに高圧且つ高温になって、ヘリウムの核融合が始まり、炭素、酸素になります。他方で、外側は膨張し続けて、地球軌道くらいまで膨らみます。これを赤色巨星といいます。
その後、太陽程度の質量だと炭素、酸素の核融合は起きないため、引力に負けて縮んでいき、質量は太陽のままで地球程度の大きさになります。表面温度は数万℃です。白色矮星といいます。その後は徐々に冷えていきます。1億年ほどで1万℃くらいになるらしいです。
これだけ大きな太陽ですが、宇宙の中ではそれほど大きくありません。
太陽の8~25倍程度の質量があれば、高圧のため核融合がどんどん進み、水素を1000万年程度で使い切ります。続いてヘリウムの核融合が起こり、炭素・酸素になり、その後次々と核融合を重ね、鉄になります。これ以上の核融合は起こりませんが、さらに高圧力となりますので、重力崩壊というものが起こります。原子と原子核との比率は東京ドームとパチンコ玉くらいですが、その原子が潰れるイメージで、例えば半径1万kmの鉄の塊が一気に半径10kmになります。これは、中性子星と呼ばれる極めて高密度の天体です。
そして中心部分は鉄になっていても外層はまだ鉄まで核融合していません。結果、重力崩壊と同時にその外層が一気に吹き飛びます。これを超新星爆発といいます。超新星爆発により、太陽の1000億倍の明るさの光が放出されます。
そして、この時大量のニュートリノが発生します。実は、太陽の1000億倍の明るさという可視光は超新星爆発のエネルギーの約2%に過ぎず、残り98%をニュートリノが持っていきます。ただ、ニュートリノは非常に観測が難しく、計算上厚み1光年の鉛でも透過するらしいです。1987年にカミオカンデが観測して話題になったことがありましたが、観測したのは超新星爆発のニュートリノわずか10個です。
超新星爆発の後、残った中性子星は、半径10km、質量は太陽の約1.4倍という極めて高密度の天体になります。重力は地球の約2000億倍。1㎤は1億トンです。
続いて、太陽の25倍を超える質量があれば、核融合の終了後、中性子星としても存在できません。極超新星爆発やガンマ線バースト、或いは弱い爆発が起こり、中性子星としても存在できないくらい高圧・高温となり、物質が大きさのない質点になります。
これがブラックホールです。
簡単に理屈を説明すると、質量には引力があります。物を上に投げても、地球の引力で落ちてきます。しかし、一定のスピードを超えて投げると、地球の引力を振り切って宇宙へ飛び出して、地球には戻ってきません。これを「脱出速度」といいます。地表面からだと時速40,300kmです。そして、「脱出速度」、天体の質量と距離によって決まります。そして、脱出速度が光の速さを超えたとき、光すら脱出できないブラックホールとなるのです。
つまり、ブラックホールは、吸い込まれてどこかから出ていくのではなくて、吸い込みっぱなしで、異常な高圧・高密度のため大きさがほとんど無くなるということです。
光が脱出できなくなる領域の半径をブラックホールの半径といいます。太陽の10倍程度の質量(超新星爆発等により残った分のみ)だと半径は30km程度です。
ちなみに、太陽を無理矢理ブラックホールにするとブラックホール半径は3km程度です。地球だと9mmで、1円より小さくなります。
このような天体については、多くの学者が理論上のもので存在しないと考えていました。アインシュタインもその一人です。
標準的なブラックホールは太陽の10倍程度の質量です。しかし、銀河の中心には巨大なブラックホールがあります。我々の銀河の中心にもあり、射手座に太陽の450倍の質量を有する巨大ブラックホールがあります。他の銀河には、太陽の3900万倍とか、1億4000万倍とかいうとんでもないブラックホールも見つかっています。話が大きすぎて、ついていけなくなってきます。
アインシュタインが一般相対性理論を編み出しました。質量の近くでは時空が歪む(空間が広がり、時が遅くなる)ということらしいです。訳が分かりません。
アインシュタインは一般相対性理論で、こんなに広大で訳の分からない事象の起きている宇宙全体を計算しようとしました。しかし、うまくいきませんでした。アインシュタインは、宇宙が有限で、変化しないものと考えていましたが、計算が合わなかったようです。有限ということは、宇宙の端っこまでいくと、反対側にいってしまう、ということです。
すると宇宙が膨張しているという学者が現れました。アインシュタインは彼らを酷評していたようです。しかし、その後ビッグバンに係る証拠が見つかります。定常宇宙を信じていたアインシュタインは衝撃を受けたと思います。
観測→計算→想像→立論、この繰り返しです。
まず観測ですが、その技術の進歩は素晴らしものです。従前は可視光を観測するだけでした。その後、赤外線、X線、ガンマ線、電波望遠鏡等が開発され、さまざまなものが観測できるようになりました。アインシュタインが存在しないと考えていたブラックホールも見つかりました。ニュートリノを観測したカミオカンデも注目です。最近の日経にガンマ線を観測する機械を建設するという記事がありましたが、完成すればまたいろんなことが分かると思います。
そして計算です。例えば、恒星には伴星が存在するのが普通で、伴星の軌道を分析して、恒星の質量を計算します。また、可視光の色の変化(ドップラー効果)から速度を求めます。そして、少ない資料ながら観測データに基づいて計算し、その結果から様々に想像し、立論していきます。観測したものは100億年前のものだったりします。学者の皆さんは、100億光年も離れた場所で、100億年前に起こった事象のわずかな痕跡から想像し、宇宙全体を解き明かす理論を考えています。
ダークマター、ダークエネルギーといわれているものがあり、宇宙全体の95%に及びますが、正体不明です。つまり宇宙はほとんど解明されていません。
宇宙から見れば、ちっぽけな人類ですが、無謀にも解明しようと努力しています。
まさにRomanticは止められない......