「私の趣味から、パート4」 ~ 「井山裕太七冠達成」と、AI(人工知能)の活躍 ~ 福島 三雄 会員
2016年、東大阪出身の井山裕太(28)が、囲碁の主要タイトルである7大タイトルを全部獲得し、七冠を達成した。井山は、5歳のとき、父親が買ってきたテレビゲームで碁を覚え、アマ高段者であった祖父の教えを受け、碁を始めて半年で5級程度、さらに半年で三段程度までの力をつけたとされる。その後の経歴を簡単にたどると、
1996年 ミニ碁一番勝負で5人抜き そのあと石井邦生9段の門下になる。
1997年、小2、少年少女全国大会で優勝
1998年、小3、 連続優勝
1998年 日本棋院関西総本部の院生になる
2002年 入段
2007年 棋聖戦リーグ入り、名人戦リーグ入り
2008年 名人戦挑戦(最年少記録)
2009年 名人獲得(最年少記録)
2010年 名人防衛、
2011年 十段獲得 天元獲得、名人失冠
2012年 十段防衛、本因坊獲得、碁聖獲得、王座獲得
2013年 棋聖獲得(六冠),本因坊防衛,碁聖防衛、名人獲得,王座防衛,天元防衛、十段失冠、
2014年 棋聖防衛、本因坊防衛、碁聖防衛、名人防衛、王座失冠、天元失冠、
2015年 棋聖防衛、本因坊防衛、碁聖防衛、名人防衛、王座獲得、天元獲得
2016年 棋聖防衛、十段獲得(七冠達成)
人工知能(AI)の活躍
AI(Artificial Intelligence:人口知能)が囲碁においても飛躍的に力をつけている。
終局までの打ち手のパターンの数で比較してみると、チェスの場合、10の120乗、将棋の場合、10の220乗であるのに対し、囲碁の場合は、10の360乗であるとされている。
一般に、数の単位は、一 十 百 千 万 億 兆 京(けい)垓(がい)秭(し)穣(じょう)溝(こう)澗(かん)正(せい)載(さい)極(ごく)恒河沙(ごうがしゃ)阿僧祇(あそうぎ)那由多(なゆた)不可思議(ふかしぎ)無量大数(むりょうたいすう)と呼ばれる。
各単位ごとに10の4乗ずつ大きくなるとすると、無量大数=10の68乗になる。
囲碁のパターン数は、この無量大数と比べてもはるかに大きな数と言える。このため、チェスや将棋には勝っても、囲碁のトッププロに勝てるようになるのはまだ10年はかかるであろう、と言われていた。
しかし、2016年3月、韓国のトップ棋士であるイ・セドル9段が、AI「アルファ碁」と対戦し、1勝4敗で負け越した。
さらに、2016年の年末から2017年1月にかけて、ネット対局上に「Master」なる打ち手が出現し、世界のプロ棋士相手に60連勝を達成し、囲碁界を騒然とさせた。その後、この「Master」なる打ち手は、ディープマインド社の「アルファ碁」の進化版であると公表され、AI(人工知能)の進歩ぶりに、改めて関心が集まった。これを機会として産業界での利用も一層進むであろう。
井山七冠(今は六冠)とAIとの対戦も今年の3月に企画されており、これもどうなるか楽しみである。