「雑学のススメ 『トランプ』 」 大屋 準一 会員
●トランプの起源
トランプの誕生にはいろいろな説があります。最も有力なのが、中国のマムルーク・カードがヨーロッパへ伝わったというものです。
マムルーク・カード(タロットカードの祖先)にはジョーカーは存在せず、ジョーカーは19世紀になってから登場しました。
※ジョーカーは19世紀後半のアメリカで最高位の切り札として追加されました。
●トランプのデザインと人物
現在の絵札のデザインは、15世紀終わりから16世紀の初めにかけてフランスにおいて、その原型が出来てきており、16世紀初め頃からフランスではそれぞれの絵札に固有人物を当てはめる習慣が作り出され、歴史上、伝説上の有名人物の名前をカードに書き入れはじめました。
●絵札の顔の向きには意味がある
絵札の顔の向きにはそれぞれ意味があります。前述で、クラブ・・・知識・ダイヤ・・・お金・ハート・・・愛・スペード・・・死の説明をしましたね。それを思い返しながらトランプを見ていきましょう。
●スペードのエースに隠された秘密
スペードのエースだけ、カード中央のマークが複雑なデザインで大きなデザインをしています。なぜ、スペードのエースだけが大きいデザインなのでしょうか。スペードのエースには、その印刷所の記章を印刷すべしとする法律がありました。1711年~1960年迄トランプには印紙税が適用されていました。印紙税が支払い済である事をスペードのエースで示していました。
●トランプが日本に伝来した時期
日本に伝わったのは1543年、室町時代末期といわれています。ポルトガルから伝わってきました。ポルトガル語ではトランプのことを「かるた(carta)」といいます。 日本では「南蛮かるた」が最も古く48枚のカードからできています。
南蛮かるたを真似したものが天正かるたです。天正カルタは賭け事の道具としても使用されたことから、江戸時代を通じて繰り返し禁止されました。 その際、多くのカルタが焼かれたり、捨てられたりしたため、当時の姿を今に伝えるものはほとんどありません。西洋文化の人気にともなってトランプ類は製造を禁止するほどの人気になりました。天正かるたはその後も、「めくりかるた」「うんすんかるた」に変化していきました。
●百人一首
日本古来の伝統的文化である「あわせ遊び」(貝歌・貝覆い)がポルトガルから伝来した「カルタ」と融合することで、伊勢物語歌カルタ・源氏物語歌カルタ、あるいは百人一首歌カルタ・いろはカルタにつながっていきます。日本の「歌カルタ」の歴史が始まります。
●花札
江戸時代中期に現在使用している花札ができたと言われています。もともと歌かるたは上流階級の遊びであったため、幕府から下流階級の商人や町人が使用することを禁じられていました。そのため人々は幕府の目を盗んで賭博行為をするため、店の奥に賭博場を用意し、店に入った最初に「鼻(ハナ=花札)をこする合図」をすると店主が「奥へどうぞ」と賭博場へ案内してくれたといいます。賭博行為で使用するという後ろめたさから、隠語的表現で花札の販売店には花=ハナ=鼻として「天狗」の面が掛けられていたことからパッケージにもイラストが描かれることになりました。