「山方谷に学ぶ」 小林 知義 会員
1.日本式資本主義のルーツ
論語とそろばんという指針に沿って、渋沢栄一は500社を超える株式会社を創立した、日本経済界の歴史上最大の偉人である。この精神はロータリーの職業奉仕の考え方に近く、その理念は二松学舎を創説した三島中州の儒学の影響を色濃く受けている。 その三島の師こそ、備中松山藩の山田方谷その人である。日本式の経営スタイルはその山田方谷から受け継がれたと言っても過言ではない。
2.山田方谷が学ぶ
四書五経を中心とした儒学を5歳から学び、朱子学。陽明学へと学問の幅を広げる。江戸遊学時代は佐藤一斉の門下で佐久間象山と机を並べる。
3.山田方谷の経済論【理財論】
事の外に立ちて、事の内に屈せず。義を明らかにして、利を計らず。この二つの命題が理財論の骨子であり、この態度で改革に臨めば、利は義の話という帰結となるはず。日本式経営スタイルの原点は此処にある。
4.山田方谷の藩政改革
下級武士や農民などに対して、まず、徹底したセーフテイネットを敷く。その後、自分自身はもちろん、藩主をも含めた中流以上階級に対して、給料カットと経費カットを行う。武士や商人の殆どを敵に廻しながら、緩まずに断行する。大阪の米問屋に対して藩債の期限を交渉して、先延ばしを納得して貰う。負債の整理ができた時点で、産業の振興を計る。結果、7年間で借金は完済。後の7年間で10万両の蓄財が可能となる。現在、日本の改革も同じ手法が求められていると思う。
5.山田方谷の言葉
至誠惻怛。誠心より出ずれば、敢えて多言を用いず。
君見ずや、万古の明鏡 一心の存するを。