「私のお仕事 PART4」 玉置 栄一 会員
公認会計士・税理士を生業としている私にとって、税務調査対応は重要な業務の一つといえます。言うまでもないことですが、税務調査とは、誤った申告が横行し、納税者間に課税の不公平感が生じないよう、国税庁・税務署により、納税義務が適正に果たされていないと認められる納税者に対して、その誤りを正すために行われる行政手続ですが、現場の税務職員にとっては、限られた人員で限られた時間内に終了させなければならない過酷な業務であります。
最近の税務調査の実調率はかなり低下しており、調査の実効性を高めることに腐心しているような印象を受けます。ちなみに、平成20年度の法人申告数に対する実調率は5.2%であったのが、21年度には4.9%、22年度4.5%、23年度4.6%、24年度3.3%と減少しています。単純に30年に一度しか税務調査を受けることがないということになります。
ただし、調査を受けた法人の大半は何らかの非違事項が検出されております。
税務調査の選定は、KSK(国税総合管理)システムを活用して、データベースに蓄積された所得税や法人税の申告内容や各種資料情報などを基に、業種、業態や事業規模などの観点を踏まえて選定されるそうです。具体的には、
●過去の税務履歴(税歴)による選定
●資料分析・情報収集等による選定
●同時調査という視点での選定
消費税の還付申告については、税務当局は慎重に確認しているようです。
最近では、競馬の外れ馬券代を経費と認めず所得税を課したのは違法として、元会社員の男性(41)が総額約8億1千万円の課税処分の取り消しを国に求めた訴訟で、大阪地裁は外れ馬券代も経費と認め、課税額を約7億4千万円少ない約6600万円とした判決を下しています。極めて興味深い判決だと思います。