■会長の時間
『諸君、小さな完成品になつてはいけませんよ。高等学校の教育は大きな未完成品を作るための教育なんです。』 (橋本 文夫)
パリのナイトクラブ「リド」は、豪華な演出と規模で欧州一の呼び声が高い。そこの支配人ルイ・ゲラン氏が語ったという言葉を、永六輔さんが自著に書き留めている。
〈われわれの仕事は簡単です。何か不可能なことを捜して、それをやるのです〉 (『役者 その世界』岩波現代文庫)
舞踊であれ、寸劇であれ、不可能なことを捜し、それに挑戦しているとき、店をしての仕事はいまだ「未完成」である。やがて、稽古と工夫によって客の鑑賞に堪える芸が可能になる。では、「完成」したかといえば、そのときにはもう別な不可能なことに挑戦していて、店はいつまでたっても「未完成」のままである。さあ完成した、これでいい、もう満足だ……そう思った瞬間に成長は止まる。支配人の言葉を意訳すれば、そういうことになろう。
掲出の橋本文夫氏は、旧制広島高等学校のドイツ語教授。阿川弘之(1920~)ら学生たちに、「小さな完成品」となることを折に触れて戒めたという。
名人上手といわれる人ほど、技芸の完成に満足せず、世間がびっくりするような冒険をやってのけることは、どの分野でもしばしば見かけるところである。
俳聖芭蕉の言葉に、〈名人はあやふき所に遊ぶ〉とある。名人とは、永遠に完成しないことを我が身に誓った冒険者の別名かも知れない。
【来客紹介】 |
0名 |
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【出席報告】 |
26年2月21日(第579回例会) |
会員総数 |
出席免除会員 |
出席会員 |
欠席会員 |
出席率 |
35名 |
2名 |
26名 |
7名 |
78.79% |
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【幹事報告】
〔メール送信〕
1.例会変更のお知らせ(3/14 → 休会・4/18 → ガバナー補佐訪問/クラブ協議会) ⇒ 2/18配信