■会長の時間
【パンドラの函】
西欧の故事。
美しく、魅惑的で、みる者の欲望をそそるような品物から、とんでもない災いがひき起こされることがよくある。特に、女の持ち物や、関係するものが災難、不幸のもとになる、といった場合に、それを「パンドラの函」という。この函には、もろもろの災いがいっぱい入っているのである。
ギリシア神話をひとつ紹介しょう。
人間がまだこの世に生まれたばかりのころ。もう多くの悪事を働いていた。それで、大神ゼウスはおおいに怒り、人間をひどくみじめな状態に陥れようと考えて、人間から火を取り上げ、隠してしまった。
火を失った人間たちは、冬の寒さに痛めつけられ、夜は野獣たちの襲来に脅えて暮らさなければならなくなった。そんな人間の様子をみて、同情したのが、狡智にたけた巨人神プロメテウス。
灯心草(山にんじん)の枯れたずいを着物の下にそっとしのばせて、天に昇り、太陽神の馬車の燃えたつ車輪に、灯心草を押しつけた。と、枯草は燃え出したので、プロメテウスは大急ぎで下界に降りて、人間のところに持ち帰った。そして、火の燃やし方、使い方などを詳しく教えてやった。人間は再び、暗闇でも野獣たちを恐れず、ものを煮炊きして食べ、冬も暖かくすごせるようになり、以前よりずっと安楽に暮らせるようになった。
ゼウスは、激怒してプロメテウスを逮捕しで処刑を命じた。それでもあきたらず、人間どもには禍いとして、鍛冶の神ヘファイストスに命じて、泥と水から女をつくらせた。それまでは男ばかりだったらしい。で、いろいろな神に申しつけて、それぞれしかるべき贈り物をさせた。たとえば、美しさや優雅な身ぶり、針仕事や機織のわざ、ものうい憧憬心、恥知らずな偽りの心や悪がしこさ、弁舌の巧みさなど。この女の名がパンドラである。パンドラとは「すべての贈り物」という意味である。
きれいな粧いに身をととのえた最初の女パンドラは、プロメテウスの弟エピメテウスのところへ連れてこられた。エピメテウスは兄から、ゼウスの贈り物には気をつけろと忠告されていたにもかかわらず、あっさり、パンドラを家のなかに迎え入れた。
パンドラは、ゼウスからひとつの手函を贈られ、けっして開けてはならぬと命じられていた。開けるなといわれれば、なおさら開けてみたくなるのが人情である。とうとう我慢できなくなって、そっと蓋をとった。すると、怪しい煙と共に、ありとあらゆる害悪が飛び出して、人間の世界に広がっていった。あわてて蓋をしたときには、残ったのは「希望」だけであった。
人間は、いついかなる状況になっても、だから希望だけは残されているのである。
【来客紹介】 |
0名 |
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【出席報告】 |
25年4月26日(第542回例会) |
会員総数 |
出席免除会員 |
出席会員 |
欠席会員 |
出席率 |
32名 |
2名 |
24名 |
6名 |
80% |
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【幹事報告】
〔メールBOXに配布〕 今週はありません
〔回覧資料〕 今週はありません