■会長の時間
【冬来たりなば春遠からじ】
西欧の放事。 イギリスのロマン派の詩人シェリー(1792年~1822年)の『西風に寄せる歌』という長詩の最後の文句。
名言名句と聞くと、かならずこのことばを想い出す。努カとか、成功とか、いかつい文字を使わずに、苦しいときがすぎれば、かならず成功がその先にある。くじけずに、もう少し辛抱しよう、と巧みに、しかも詩的に表現しているのが印象的だからだろうか。
まず、英文を紹介しよう。 Lf Winter comes, can Spring be far behind ?
四季のうちで、もっとも陰うつで、暗く、人間の心を閉じさせるのは冬である。が、自然は実に巧みな季節の配列をしている。冬につづくのが、一年のうちでもっとも楽しく、明るい春である。
シェリーは、そこを見事に綴っている。いまは暗くて、不幸であるが、寒い冬がきたらやがて暖かい春がやってくるように、前途には輝かしい希望がみえる。悲観したり、くよくよ思い悩むことはない。そう教えている。
幸福から見放されて沈んでいる人を慰めることばとしてよく使われる。
興味をひかれるのは、「冬来たり………」の考え方は、日本人の思考とよく似てる点である。むかしから日本では「大凶は吉に通じ、大吉は凶に通ずる」としている。戒めや励ましは、どこの国でも同じらしい。
イギリスのハッチンソンの小説『イフ・ウィンター・カムズ』が第一次世界大戦のあとでベストセラーになった。この小説の扉に、シェリーの詩が書いてあった。
……O Wind if Winter comes, can Spring be far behind ? ――Shelly
……おお、風よ 冬が来たなら どうして春が ずっと遠かろうか ――シェリー
翻訳者は木村毅で、『冬来なば』と題名をつけて、婦人雑誌に連載された。最初は「冬来なば」であったのに、原作がアメリカ映画となって日本に輸入され、封切られるときに「冬来たりなば」となってしまっていた。で、それ以来、「冬来たりなば」が人びとに親しまれているのだという。
『冬来たりなば、春遠からじ』 いつ聞いても、すばらしい響きをもっていることばだが、聞くたびに、あるひとつの風景か浮んでくる。
なぜか、葉をすっかり落した、背の高いけやきの木と、ぬけるような青空。その下に憩うマント姿の旅人………
「冬来たり………」から、どのような風景を思うだろうか。一人ひとりに尋ねてみたい。
【来客紹介】 |
1名 |
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【出席報告】 |
24年12月21日(第527回例会) |
会員総数 |
出席免除会員 |
出席会員 |
欠席会員 |
出席率 |
31名 |
2名 |
24名 |
5名 |
82.76% |
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【幹事報告】
〔メールBOXに配布〕 1)第6回理事会報告 2)下期会費請求
〔回覧資料〕 1)IM(2/16)の出席確認について