■会長の時間
【ラブレーの15分】
西洋の故事。
レストランなどで食事をしたあとで、支払わなくてはならない勘定が足りないのに気づいて、どうしようと困り果てた瞬間をいう。
ラブレーとは『ガルガンチュアとパンタグリュエル物語」の作者として知られている16世紀のフランスの大作家フランソア・ラブレーである。
食事を終って、レジスターのところへいき、さて、勘定を払おうと思って内ポケットに手をやったとき、財布がなかったとしたら、あなたならどうするだろうか。ラブレーのとった作戦を紹介しよう。
当時のフランス王フランソア一世の命令で、六カ月間のイタリア旅行ののち、ラブレーは帰路につき、ようやくリヨンまでやってきた。そのとき、ラブレーの懐には1フランの金も残っていなかった。ホテルから一歩も出られず缶詰状態をよぎなくされた。身分をあかし、事情を話せばなんでもなかったのだが、そこは根が意地っ張りで、いたずら好きのラブレー、どうしたら窮地を脱出できるか、じっと考えること15分。ハタと膝をうった。
誰にも正体を見破れないように完全に変装をして、長い研究旅行から帰ってきた医師であるが、重大な発表があるから町中の医師たちに集まってもらいたいと申し出る。
講演会の席上、作り声で声までかえ、医学上の非常にむずかしい問題を長々と話をしている途中、耳を傾けていた熱心な聴衆を前に、ラブレーは急に黙り込んだかと思うと、あたふたと会場の窓という窓を自分で閉めてから、
「わたしがこれから話す内容は、けっして他言をしないように。よろしいでしょうか。これは絶対の秘密ですが、あなたがたにだけこっそり教えましょう。ここに薬の包がふたつあります。こちらには“国王に与える毒”こちらには“王妃に与える毒”と書いてあります。わたしははるばるイタリアまで毒物の研究の旅をしてきた者ですが、このふたつの包の毒はごく少量で、一瞬にして人を殺す力があり、しかもいかなる解毒剤も効かないものです。わたしはこれからパリへいって、国王と王妃、その子どもたちに、この毒を飲ませる手はずを整えています。あなたがたをはじめとするフランス国民のために、あの暴君一家を皆殺しにする計画です」
と話した。医師一同はことばもなく、顔を見あわせてこそこそ会場を出ていった。
しばらくすると町の警吏がやってきて、ラブレーを捕え、重大犯人として丁重にあつかい、パリまでなに不自由をさせず護送する。
フランソア一世は、にっくき犯人めと、直接首実検をしてみると、親しいラブレーであるのでびっくり。その打ち明け話をきいて大笑いしたという。
【来客紹介】 |
0名 |
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【出席報告】 |
24年12月7日(第525回例会) |
会員総数 |
出席免除会員 |
出席会員 |
欠席会員 |
出席率 |
31名 |
2名 |
24名 |
5名 |
82.76% |
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