「あなたもワイン通」 大谷 定子 会員
ワインといえばフランス。
栽培面積こそ、スペインに世界第1位を譲るものの、ワイン生産量、消費量、輸出量はいずれも世界第1位。 日本の輸入ワインランキングでも断然第1位です。
ワイン造りの歴史は古く、紀元前にさかのぼりますが、特に盛んになったのは6世紀ごろから。 キリスト教とワインの結びつきにより、主に修道院で造られるようになりました。
以後、ワインは急速に普及し、ますます発展することになります。 フランスのワインが愛されるのは、歴史や文化のバックグラウンドに加え、ワインといえばフランス。 各生産地がそれぞれ個性のあるタイプのワインを造っているからでしょう。
ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ・・・とてもひと言では語れない多種多様なワインがあります。 さらに、同じ産地でも、造り手によってさまざまな特徴を備えたワインになるのですから、その奥深さのとりこになってしまうのも、無理はありません。
●フランスのワインの各付け
EUではワインを日常用テーブルワインと指定地域優良ワインに分類することを義務づけており、フランスもこのワイン法に従い、さらにおのおのを2つに分けて4つの各付けを採用している。
◆AOC (アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ)
◆AOVDQS (アペラシオン・ドリジーヌ・ヴァン・デリミテ・ド・カリテ・シューペリュール)
◆Vi de Pays (ヴァン・ド・ペイ)
◆Vins de Table (ヴァン・ド・ターブル)
最高ランクのAOCは、法律で規定された原産地、ぶどう品種、栽培法、醸造法などの基準を満たしたうえ、専門家の利き酒テストに合格したもの。 現在AOCの表示のできる生産地は約400。
AOVDQSはAOC同様INAの管轄下で、原産地、ぶどう品種、栽培法、醸造法などの基準を満たしているもの。AOCより規制はややゆるい。 この中からAOCに昇格していくものも多い。
ヴァン・ド・ペイは生産地が限定されたフランス産のテーブルワイン。 いわゆる地酒のこと。 ほかの地域産のワインとのブレンドは許されず、産地名をワインの名称にしている。
ヴァン・ド・ターブルはEU内の原産地や原産国の異なるワインをブレンドしたワイン。 ぶどうの品種名や収穫年は表示できない。 ヴァン・ド・ペイやヴァン・ド・ターブルはONIVINS(全国ワイン同業者連合)によって管理規制されている。
こうした農業的な規制によりAOCワインのほうがヴァン・ド・ターブルよりランクや価格が高いと思われがちだが、ある意味では、規制にとらわれずよいワインも造れるのが、ヴァン・ド・ペイやヴァン・ド・ターブルのランク。 地元の土着以外の品種を使いAOCクラス以上のレベルや価格のワインも登場している。