「肝臓の働き (体内の化学&美肌工場) 」 菊 泰仁 会員
<肝臓の機能・体内の化学工場>
「肝臓は体内の化学工場」と言われ500を超える働きをするスーパー臓器。肝臓機能停止は生命危機に直結する為、腹腔内最大サイズ(成人約1200-1400g)、多くの予備細胞と驚異の再生能力を持つ。
①代謝・合成・貯蔵機能
食物を体内で消化分解し生命維持に必要な別の物質に変換利用、貯蔵、新たに合成するなど代謝を担っているメイン臓器が「肝臓」。三大栄養素「たんぱく質」「炭水化物(糖質)」「脂肪(脂質)」の代謝が代表的。いずれも腸でアミノ酸やブドウ糖、脂肪酸などに分解吸収され肝臓に送られると、肝臓でアミノ酸を組み合わせ必要なたんぱく質を合成、エネルギー源のブドウ糖を加工蓄積、鉄分やミネラル、ビタミン類を貯蔵活性化、水に溶けない脂質をリポたんぱく質に替え血中へ放出燃焼させエネルギーに変換するなどの機能を持つ。
②解毒・排出・免疫機能
食物や飲み物によって体内に入った有害物質や、アンモニアやアルコールなどの老廃物や不要物を無毒化(処理)排出する解毒機能。脂肪の消化に必要な胆汁を生成貯蔵し必要に応じて十二指腸に送り出す作用、(胆汁酸によるコレステロール排出)、病原体や異物を血液から排除処理する解毒・免疫調整機能があり、解毒された血液は心臓へ戻され全身へ。
<肝臓の機能・体内の美肌工場>
不規則な生活(ストレス、運動不足、睡眠不足、自律神経バランスの乱れ)、栄養バランスの悪い食生活などの要因(過度な飲酒・喫煙・塩分・糖分、精製炭水化物、トランス脂肪酸などの摂取や食品添加物、合成保存料、合成着色料、残留農薬、環境ホルモンなど)で体内に毒素が溜っても、肝機能が低下していると、毒素は解毒排出されずに体内に蓄積。
① 悪循環
肝機能低下⇒体内の不必要な物質(老廃物・毒素)が解毒・排出されない⇒皮膚組織の新陳代謝停滞⇒肌に黒色メラニンがより停滞⇒皮膚再生出来ず、くすみ・シワが消えない⇒顔色が黒ずんだ不健康な顔色
② グルタチオンの合成
メラニン色素には黒色(シミの原因)と肌色(美白効果)の2種類あり、肝臓が合成する「グルタチオン」は「黒色メラニン活性化を抑制」「肌色メラニン生成を増長」の働きがある為、肝機能低下により「グルタチオン」合成が不足すると「黒色メラニンが増殖」、不健康な顔色や化粧のりが悪くなるなど、美白・美肌・肌再生に影響する「肝臓は体内美肌工場」
<肝機能UP>
①生活編
・ストレスをためない・・・ストレスにより体内の血流量が減少し、肝臓に悪い影響
・食後30分ほど横に・・・身体を横にすると肝臓の血流量30%up、肝臓の負担軽減
・温めのお湯で半身浴・・・就寝前の半身浴は心臓の負担を軽減、全身や肝臓への血流up
・適度な運動ストレッチ・・腰や背筋、内筋肉を鍛えると肝機能アップ
・体内時計のリセット・・・夜昼逆転、夜更かし浴時は、朝陽を浴びて体内時計をリセット
・休肝日を必ず作る・・・・お酒は適量、肝臓を休ませる日をつくる
② 食事編
・必須アミノ酸
地球上全ての生命、植物、動物に存在する「生命の素=アミノ酸」は、DNAの設計図(遺伝子情報)によってたんぱく質を構成する最小単位。アミノ酸が鎖で繋がった配列や長さでたんぱく質の種類や働きが決定、身体の20%を占めるたんぱく質(筋肉、髪、皮膚、臓器・・・)が作られる。(体重の70%は水分)約500種類の天然アミノ酸の中でヒトの身体を作っているのは以下約20種類。(必須アミノ酸9種+非必須アミノ酸11種)
○必須アミノ酸(体内で合成されず栄養分として外部摂取のアミノ酸9種)・・・バリン、ロイシン、イソロイシン(3種略称BCAA)、メチオニン、スレオニン、トリプトファン、リジン、フェニルアラニン、ヒスチジン
○非必須(可欠)アミノ酸11種(体内で合成可能)・・・アラニン、アスパラギン、セリン、グリシン、グルタミン、プロリン、チロシン、アルギニン、プロリン、チロシン、システィン、※アルギニン (※アルギニンは準必須アミノ酸)
・遊離アミノ酸
体内の各組織には、アミノ酸が合成された「たんぱく質」だけでなく、分解されたアミノ酸や新しいたんぱく質などを作る為のアミノ酸など、常に利用可能な状態で存在し、肝臓、筋肉などの組織内だけでなく血中に存在し体内を循環、どこかの組織でアミノ酸が不足すると血中から取り入れたんぱく質の材料にしたり、酵素、ホルモン、DNAなどを作る。これらアミノ酸分子のまま貯蔵されているのが「遊離アミノ酸」。
・遊離アミノ酸「オルニチン」
「オルニチン」は、たんぱく質を合成せず常に「遊離アミノ酸」状態。「筋肉合成を増強するアミノ酸」ですが、筋肉組織を作る直接原料になるのではなく、「オルニチン摂取で成長ホルモンが放出⇒筋肉組織の合成を促す」補助的な役割。その他「肝臓の解毒作用(オルニチン回路)」「皮膚傷の治癒促進、再生促進。コラーゲン蓄積」「アンチエージングに必要なホルモン分泌」「腎臓・肝臓障害の改善」「免疫機能改善」などの働きをする「注目成分」。
○オルニチンを含む食材・・・しじみ・アサリ・牡蠣・ゴマ・大豆・乳製品など
しじみ100g(約35粒)中に10.7-15.3mgのオルニチンを含有。冷凍するとオルニチン量増加。昔から二日酔いにしじみの味噌汁が効くと言われているのは、先人の知恵で現在は科学的に証明済み。またしじみには、良質なたんぱく質以外に必須アミノ酸であるアラニンが含まれ、アルコールが分解されて出来たアセドアルデヒドの肝臓内での分解効率を上げる働きをする為、アラニンはオルニチン同様、二日酔いや悪酔いの回復に役立つ。