■会長の時間
【不思議なリスの行動】
水車のような回転車を備えつけた箱のなかに、一匹のリスを入れてから、その箱の外側のリスからよく見える場所に好物の餌、たとえばニンジンなどをおくと、リスはどんな行動を示すかという実験がある。
餌の距離が遠くて、リスから見て手に入る可能性がないと、リスは餌をじっと見るだけで少しも動こうとはしない。が、徐々に餌を近づけていくと、餌をとろうとして行動を起こしはじめる。リスの運動は、餌が近づくほど激しくなり、あばれまわるので、車輪の回転はしだいに急速になっていく。
リスだけではなく、人間にもこれと同じような心理的な傾向がある。
リスが餌をとろうとする意欲を起こすこと、あるいは人間がなにかをやろうと気持を昂揚させることを、心理学では「動機づけ」という。人生をより充実してすごすための動機づけとは、人間らしく生きたいと願う欲求、生きようとする要求をもつことである。
動機づけはどのようにして起こるのだろうか。英語のwantという単語を辞書でひいてみると、「必要である」「要求」と「不足する」「欠乏」のふたつの意味があるのがわかる。これは日常生活のなかで、人間がなにかが欠けている、足りないと感じると、それを満したい欲求や要求が起こってくる経過を示している。なにもかも満ち足りている状態では、欲求は起こらない。のどが乾いたなと感じなければ、水を飲むための行動を起こさないだろう。また、いくらのどが乾いていても、すぐ手の届くところに水がなければ、動機づけは起こらないのがふつうである。どこまでいっても砂また砂の砂漠の真ん中では、水を飲みにいこうとする行動はけっして起こさないにちがいない。人生を生きる動機づけも、原理的にはこれと少しもかわりがない。
〝なんのために生きるのか〟という目的がしっかり決まっていないと、充実して生きようとする動機づけは起こらないだろう。それにあまりにも大きな遠い目的だと、リスが餌を見ても動かなかったように、なかなか意欲的に行動しようとする気持にはなれない。
人生の大きな目的を定めたら、その目的に到達するためにしなければならない段階的な手の届く目標を決めて、ひとつひとつ昇っていく必要がある。目標は近くで、すぐに達せられると感じると意欲は強くなってくる。百万円を貯えるためには、まず一万円を目標におき、一万円がたまったら、次の目標を五万円にするといったふうに、より具体的で、実現可能な目標の階段をつくるのである。
「目的は遠く、目標は近く」におくことが、人生を人間らしく生きるための大切な条件といえる。
【来客紹介】 |
0名 |
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【出席報告】 |
24年7月20日(第509回例会) |
会員総数 |
出席免除会員 |
出席会員 |
欠席会員 |
出席率 |
29名 |
2名 |
17名 |
10名 |
62.96% |
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