■会長の時間
今日の会長の時間は建築のお話その11話としまして、札幌で起こりましたビルの構造体の施工不良が工事中に発覚、工事を中断し作り替えることになった事案についてです。
<工事概要>
工事名 (仮称)札幌北1西5計画
発注者 NTT都市開発
施工 大成建設
設計・監理 久米設計
規模 鉄骨造 地上26階 地下2階 延床面積60,916.06㎡
用途 複合ビル(商業施設、ホテル、事務所)
問題が発覚した発端は、今年1月5日発注者の担当者が現場巡視中に、鉄骨梁のジョイントに設計より細いボルトが入っていたのを指摘した。調査したところ鉄骨がずれているために細いボルトで仮止めしていたことが分かった。そこで大成建設の現場は鉄骨の精度の計測値を1月11日に久米設計に提出した。しかしこれは信用されず大成建設札幌支店の品質管理部門が現場を実測し報告することに。結果、現場報告書と食い違いが判明、現場はデータ改ざんを認めた。そして3月16日公表するに至った。
鉄骨は調査個所722か所中70か所で許容誤差を超えていた。(平均4mm、最大21mm)床のコンクリートは570か所中245か所で厚みの違い(平均6mm、最大14mm)があったそうです。現場の担当者は「どこも数ミリ程度の精度不足で品質上問題なく、修正すれば工期が遅れると思った。」と言っているそうです。
現場担当者が報告書のデータを改ざんしたのは、NGだと認識している証拠です。大成建設の会社側は、社内パトロールで前年の9月及び11月にも鉄骨建て方精度について自主検査及び管理者への報告がなされてないことを指摘していたということですが、現場は4ヵ月以上もの間是正してなかったようです。会社側もそれを放置していたということです。これらのことから、事はこの現場だけのことに留まらないのではないかと考えるのは考えすぎでしょうか?
一方監理者である久米設計は、契約で監理業務については最初だけ現場立ち合いを実施し、あとは報告書をチェックするだけとなっていたそうです。契約でそうなっていたということは監理者もそうですが、発注者側にも取り組み姿勢に問題があったと言わざるを得ません。ひょっとすると基準そのものがこのような超高層ビルには適してないのかもしれません。しかし、どちらにしても関係者全員が無責任体質になっていたのではないでしょうか。この件を他山の石とせず、このようなことに陥らないよう自分自身を律していきたいと思います。
【来客紹介】 |
0名 |
|
【出席報告】 |
5年5月26日(第943回例会) |
会員総数 |
出席免除会員 |
出席会員 |
欠席会員 |
出席率 |
38名 |
1名 |
22名 |
15名 |
59.46% |
|
|
【幹事報告】
1)第11回理事会報告・第2回次年度準備理事会報告
2)委員会活動報告書(委員会引継ぎ資料)
〔メール送信〕
1)新入会員予定者のご通知 ⇒ 5/17 配信