「プラセボ(Placebo)効果と気の持ち方」 菊 康人 会員
●プラセボ/プラシーボ(1.[医薬学用語]偽薬、対照薬 2. 気休め、お世辞)
本物の薬と同様の外見(形状)、重さ、味で外見上の見分けはつかないが、薬効成分を含まない偽薬(ブドウ糖や乳糖、でんぷんなどを錠剤やカプセル剤にして、薬のようにみせたもの)
ラテン語placebo「私は満足する/喜ばせる」由来、英語、仏語、独語placebo
●臨床試験と治験
臨床試験は、ヒトを対象として、新しい薬や手術、治療の効果や安全性(副作用の有無)について確認するための試験で、国(厚生労働省)から承認(日本国内で販売可能)を得るために行われるのが治験(臨床試験の一種)
●被験薬投与群とコントロール群(対照群)
本物の被験薬を投与される患者を「被験薬投与群」、担当医師も患者も看護師も偽薬であることを知らされない「コントロール群」の2つのグループに分けて、臨床試験が実施される。
偽薬を投与された患者は、不活性で本来有効性がない偽薬であっても、信頼している医師から投与されたという期待値や、治りたいなどの「意思・思い込み」が自然治癒力を高め、改善傾向がみられる「ヒトの不思議」が、全世界的に共通認識のため、比較対照としてどの国でも臨床試験では「コントロール」のデータが必須条件。
●プラセボ効果とノセボ効果
本来は薬としての効果のないプラセボを服用しても、病気の症状などが改善することを「プラセボ効果」と呼び、患者の暗示効果・期待効果・治療環境など、本来ヒトのもつ自然治癒能力がこころや気持ちに左右されることが分かっており、逆に「副作用大丈夫かな、どうせ効果ない」とネガティブな気持ちで服用した患者は、プラセボであっても副作用で病状が悪化することがあり、これを「ノセボ効果」といい、まさに「病は気から」の例。
●各国のことわざ・慣用句
・Your mind controls your health. 心の持ち方が健康をコントロールする
・Fancy may kill or cure. 死ぬか助かるかは考え方次第
・Care killed a cat. 心配事は体に毒 ※猫は9つの命があるくらいめったに死なないタフの象徴
・Laughter is the best medicine. 笑いは最高の良薬
●イメトレ効果
実際に肉体を動かさず、過去の様々な経験や記憶を元に、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)の感覚を引き出して、頭の中だけでより鮮明にイメージするトレーニング。
脳は、「鮮明にイメージしたもの」を「実際の経験」と勘違いして記憶し、実際にその場面に遭遇した際に、記憶の中から瞬時にイメージで浮かべた反応を選んで体に指示を出すことが臨床試験分かっており、一流のアスリート達は、「最高のパフォーマンス」のためにイメージトレーニングでの記憶上書きを重視活用。
つまり「失敗は成功の基」改善するための問題点や差分を認識する程度の反省材料(省の漢字は少し見る)とし、後悔し過ぎて「失敗のイメージ」をいつまでも引きずらずに定着させず、成功=ゴール目標を常にイメージ。
●プラス思考と目標設定
あるダイエットの臨床試験で、①「貴方は本来この理想の体型。その体型に戻すことを目標に」②「貴方の理想に近づけるために、今の太った体型のこの余分な脂肪を減らすのを目標に」の2つのグループに分けたところ、「努力しただけ体は裏切らない」とプラス思考の人たちは両群ともにダイエットに成功。
ところが、何年かして追跡調査をしたところ、①の成功グループは、リバウンドなしで理想の体型(本来の姿とのプラセボ効果)をキープ ②の成功グループはリバウンド率が高かったことが判明。
つまり、②群は、太ってるイメージが本来の姿として脳に記憶されたまま払拭されていなかったのが要因。