「弁護士的なこと」 林 裕之 会員
なんとなくですが、皆様が私について誤解されている気がするので、弁護士的なことを、ランダムに話してみます。
弁護士は独立しており、他の士業と違って、監督官庁がありません。弁護士会が監督機関であり弁護士に対して懲戒処分を行います。時に国家権力に対峙することもあるため、どこかの国家機関の支配下におかれるわけにはいかないのです。
また、私見ですが、弁護士のキャリアを積めば積むほど、弁護士は職人だと感じます。文章表現の細かいところまで拘ってやっております。 では、具体的な弁護士業務の話をしますね。
まずは離婚について
裁判上離婚が認められる原因は限定的で、なかなか認められません(不貞行為はダメです。)。ただ、多くは調停中に合意により離婚が成立しますし、別居が長引いた場合に裁判離婚が認められることがあります。
婚姻期間中の稼ぎは財産分与の対象になってきます。この財産分与が高額になる場合があり、よくもめます。この点は、事実婚(内縁)においても、同じです。
次に相続について
遺言書の作成が重要です。死後には当然できませんし、生前でも能力が減退すれば、作成できなくなります。また、認知症が出始めると遺言能力に問題なくても、死後に遺言能力を争われたりしますから、最初の1通目は元気なうちに早めに書いた方がいいでしょう。クライアントの中には毎年書き直す人もいて、親族が優しいらしいです。
相続が開始したときに、大きくもめるものの一つが遺産の評価額です。裁判が進めば、税務上の相続税評価額ではなく、時価評価になりますので、ご注意ください。
続いて事業承継について
時間をかけて計画する必要があります。税務の影響も大きいので、税理士・公認会計士と組んで対応することが多いです。基本的なことだけいうと、黄金株(拒否権付き株式)を利用してある程度の実権を握りながら、次世代に経営を委ねていくとよいでしょう。株式を承継する方法としては、例えば、次世代が出資してSPC(特定目的会社)を作り、SPCが銀行借入等によるファイナンスで株式を購入し、最後に合併して本社が返済していくという方法があります。
続いて公益通報について
もうすぐ公益通報者保護法が改正され、保護対象が増えるなど、公益通報が活発に利用される環境ができます。ただ、会社経営においては公益通報を充実させれば安心というものではなく、私は、不祥事対策としては、公益通報ではなく、本来の情報流通過程(担当→課長→部長→役員など)の充実・円滑化の方がよっぽど重要であると考えています。当然といえば当然ですが、忘れがちな気がします。
最後に独占禁止法について
優越的地位の濫用、下請法規制が強化されています。公正取引委員会や中小企業庁の職員が増員されており、国も力を入れていることが明らかなので、ご注意ください。
弁護士っぽいことを話しました。今後、私について誤解のないように、よろしくお願いします。