「大腸がんについて」 榎本 仁 会員
大腸がんは、男女ともに40歳代から増加し始め、高齢になるほど増加する傾向にあります。
しかし他の臓器にできるがんと比べると、比較的進行がゆっくりで、早期に発見できれば根治する可能性も高いと言われています。
したがって、大腸がんの治療成績向上には、検診等で早期発見することがとても重要であると言えます。
①大腸がんとは?
結腸がんと直腸がんに分けられます。
大腸は、小腸から送られてきた食物の水分などを吸収して便をつくり、肛門まで運ぶ働きを担う消化器官で、盲腸、結腸、直腸からなっています。大腸がんは、この大腸に発生するがんのこと。発生する部位によって、盲腸からS状結腸までにできる「結腸がん」と、直腸から肛門までにできる「直腸がん」の2つに分けられます。
②大腸がんの症状
◆自覚症状がほとんどありません。
早期の大腸がんには自覚症状がほとんどありません。しかし早期に見つかればほぼ100%完治するため、無症状のうちに健診や人間ドックで発見することが重要です。40代から増加するので40歳になったら年に一度は検査を受けることが望ましいと言えます。
◆便通異常に要注意
がんが大きくなると、血便や下血、便秘と下痢の繰り返しなど、便通異常が見られるようになります。中でも血便は大腸がんの代表的な症状ですが、痔と勘違いして受診が遅れる人も珍しくありません。特に「出血があるが肛門痛がない」「暗赤色の血液が便に混じる」「黒い血塊が出る」などの症状があれば大腸がんの可能性が高いといえます。
③大腸がんの検査
◆便潜血検査(大腸がんの基本的な検査) ◆大腸内視鏡検査(腸内をカメラで詳しく観察)
◆注腸造影検査(X線を使って腸内を撮影) ◆腫瘍マーカー検査(血液検査でがんを推測)
◆画像診断(CT・MRI・PET など)
④大腸がんの病期(ステージ)
大腸がんのステージは、腫瘍の大きさではなく、がんの深さやリンパ節・遠隔臓器への転移があるかどうかによって決まります
⑤大腸がんの治療方法
◆内視鏡治療(お腹を切らずにがんを切除) ◆外科的治療(手術でがんを取り除き、転移を防ぐ)
◆放射線治療(手術でとれないがんに照射) ◆化学療法(抗がん剤でがんを縮小)