「騙される脳とプラセボ効果」 菊 泰仁 会員
◆ プラセボ(placebo)=偽薬
「本物の薬のような外見であっても、薬として効く有効成分が含まれない偽薬」は医薬業界では「プラセボ(仏語発音)」と呼ばれています。※英語発音では「placebo:プラシーボ」
◆プラセボ効果
新薬や治療効果を検証するための臨床試験として二重盲検法による評価があり、①本物の薬剤投与②偽薬(薬理的影響のないブドウ糖や果糖や単なるビタミン剤等)を投与の2グループにランダムに分けられます。 ②群(比較対象試験のコントロールと呼ばれる)は、投与する医者もされる患者も偽薬とは知らされず、「治る薬を投与されているという安心感や心理的な未知の要素効果」(プラセボ効果)により患者の症状に改善がみられるため、「本来の薬の治療効果を実験的に明らかにする」意味で、この「コントロール」のデータは、新薬の認可を得る上では必須で、全世界共通です。<つまり>「ヒトは思い込みで治る」というのは、全世界共通の認識。 ※「病は気から」「痛いの痛いの飛んでいけぇー」も各国にあります。
◆薬物伝達(DDS:ドラッグデリバリーシステム)と意志力による伝達システム
DDSとは薬が「必要な時期に」「必要な部位へ」「必要な量だけ」到達するように工夫した投薬システムのこと。各製薬会社は、薬の副作用の軽減や生体内で必要とされる部位に選択的に薬を到達させたり、長時間持続的に放出されるように製剤を工夫研究しています。
※溶解時間や製剤コーティングを考慮すると、本来「腸まで届かない」ものが、患者の思い込みで「胃で溶けずに腸まで届く(患部に到達)」結果が出ることもあります。 <つまり>ヒトは、「意志力、思い込み、信じる力」などの「伝達システム」を持っています。
※ただ漫然と日々の習慣として、何種類もの薬やサプリを口に運ぶのでは、効果半減。必ず「この薬やサプリは何?どんな効果があるか?どこの部位に効くのか?毎回必ず「意識」し「必ず効く」と「口に出し」「思い込む」ことで、「脳が騙され、効果倍増」。薬やサプリだけでなく、普段の食事も、「天の恵みや食材、料理を作ってくれた人に感謝」し、「栄養素が自分の血となり肉となる」と「感謝を忘れず美味しく」いただくことが「身体に一番」「健康寿命をのばす秘訣」なのです。
◆脳を騙して、マイナスイメージをプラスに上書き
米国での臨床試験で「ダイエットの二重盲検試験」の例ですが、①「このお腹の余分な脂肪を絶対減らすぞぉー」②「私のもともとの(理想の)体系に戻すぞぉー」との「プラス思考」の2グループで検証した結果、当然双群ともに良い結果を得られたものの、検証後の追跡調査で、①群はリバウンド多数②群はスリム体系を維持となりました。 <つまり>①群はプラス思考ですが、「太った体系=もともとのスタート」設定、減らした「余分な肉」のマイナスイメージが残っているため、リバウンド。一方②群は、「理想の体型=本来の体型」と設定。「余分な肉はもともと無かった」と「脳が騙されて」いるため、リバウンドはせず、理想の体型をキープ。
※一流アスリートは、経験上、「過去の失敗や負けた試合」のマイナスイメージを払拭し、「過去の成功、ベストな成績や試合内容」のプラスイメージだけをどんどん脳に上書きする「イメージトレーニング」も重視しています。
※過去の失敗は、「同じ失敗をしない、同じ轍を踏まない」=「次のベスト・成功に繋げる」ための単なる「検証材料」の一つであって、「過去の失敗をくよくよ後悔」「あーすれば良かった」など「過去のマイナスイメージの見過ぎや後悔」はNG。 先人達はそれが分かっていたので、「反省の省」は、(振り返って)「少しだけ見る」という字なのです。
◆目的をもったプラス思考
「汚い部屋=住めば都」のプラス思考ではなく、「本来は清潔な部屋」=「片付けて元に戻す」という「目的をもったプラス思考」であれば、「リバウンド=また汚れる」ことなく、「清潔な部屋をキープ」できるのです。
「汚い部屋=スタート」を片付けなくては!とのマイナスイメージが残っていると、整理整頓綺麗にしても、リバウンド。 「年末の大掃除」も、「新年の心身器物に至るまで清浄な状態」 に戻すだけです。
では、プラセボ効果を有効活用、いい意味で脳を騙して、来年2019年も皆様にとって実りある一年に!