■会長の時間
『酷しい条件の下では、一時間は二時間にも三時間にも感じる。しかし、酷しい条件がそう感じさせるだけで、一時間の仕事は一時間分の仕事である事に変わりはない。以後、私は、酷しい条件化では、もう充分だと思っても、その後、それまでの三倍はねばる事にしている。やっとそれで充分なのだ。』 (黒沢 明)
映画『姿三四郎』(1943年)は、黒澤明氏(1910~1998)の監督デビュー作である。
映画のクライマックスをなす三四郎(藤田進)と檜垣源之助(月形龍之介)の「右京ヶ原の決闘」は、箱根の仙石原で撮影された。
想像を絶する烈風であったという。決闘シーンを不穏に彩る風そのものは歓迎すべきものであったが、天佑ともいうべきその風を映像として万全に使い切ることができなかったことを、黒澤氏は掲出の著書で悔いている。〈私は、強風の中で、もう充分に撮ったと思ったのに、編集の時に見ると充分どころか、取り足りないところが沢山あった〉と。
大正時代、相対性理論のアインシュタイン博士が来日したときに歌われた俗謡がある。
♪ 惚れて通えば千里が一里 ぬしを待つ間のこの長さ おやまあ相対性ですね
恋しい人を待つ時間は長く感じられ、その人と過ごす時間は短く感じられる。同じだけの時間が置かれた状況によって長短さまざまに感じられる不思議な感覚は、誰しも経験があろう。後年、“完璧主義者”の名をほしいままにした黒澤氏でさえ、若気の至りでその錯覚に惑わされた。過酷な条件下の仕事は普段の3倍ねばる。巨匠の残した教訓である。
【来客紹介】 |
3名 |
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【出席報告】 |
26年1月24日(第575回例会) |
会員総数 |
出席免除会員 |
出席会員 |
欠席会員 |
出席率 |
35名 |
2名 |
25名 |
8名 |
75% |
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【幹事報告】
本日は、「メールBOXへの配布資料」・「回覧資料」ともにありません。