「干支の活学」 髙野 幸雄 会員
本年は「兎年」と云われ、正月飾りや年賀状などには動物の「兎」が描かれ、そのイメージからか「跳躍の年」と比喩されておりますが、本来の「干支」の持つ学術的な概念を知り、日常の出来事と考え合わせえてみてはいかがでしょうか?今回は 私が常々、新年の抱負などを考える際に参考にしております書籍「安岡正篤/人間学講話 干支の活学/プレジデント社」からの引用を基に、「干支」の話を卓話としてまとめてみました。
【安岡 正篤(まさひろ) 明治31年 大阪市生まれ、大正11年 東京帝国大学 法学部政治学科卒業、東洋政治哲学・人物学を
専攻。その後、東洋思想の研究と人物の育成に従事し、戦後 昭和24年に師友会を設立、広く国民各層の啓発・教化に努め
昭和58年12月逝去。この間、吉田茂などの歴代総理や政財界の重鎮等達が師事したとされ、後に「六星占術」で有名になった
細木数子とは婚外婚の関係を晩年まで続けたと云われる】
今回は、例として 昨年2022年(令和4年)を振り返り、本年2023年(令和5年)を考察してみます。
では、「壬寅(みずのえとら/じんいん」という昨年を振り返ってみます。干の「壬」は妊娠の「妊」や任命の「任」に通じ、内在するものが大きくなる様子を表しており、優秀な人物が輩出され 新しい技術や産業、価値観が生まれるが、自己の野心を腹に孕んでいる悪人や世の為にならない技術や価値観も出てくると解釈されます。一方の支の「寅」は、人が手を合わせる・約束する様を現した象形文字で「つつしむ」「助け合う」大切さを表現しており、これを怠ると恐ろしい出来事に遭遇するという意味であります。「寅」の意味は元来恐ろしい物事に対して、警戒し助け合って乗り切るという意味で、 「壬寅」を合わせて読み解くと「変化は更に激しくなり、新しい人材輩出や出来事が起きるが、良い事ばかりではなく悪意を持った人や悪事もはびこる可能性がある。ゆえに慎重に物事を見極め仲間同士で助け合って対処しなければならない。」と解釈できます。
実際に起きた国内外の主な時事をお手元の資料に記載しました。皆様はどのように考えられますか?
既に今年も3月半ばとなり2ケ月半が過ぎましたが、世界情勢を観ますと、コロナ禍による行動抑制は沈静化しつつあるものの、ロシアによるウクライナ侵攻は1年が過ぎ更なる長期戦となる見通しの中、北朝鮮のミサイル乱射による挑発行為、習近平体制が3期目を迎えた中国による台湾有事の危険性増加など、日本周辺でもきな臭い状況が続いております。一方、環境問題では引き続き温暖化の影響が深刻であり台風などの災害も大型化しております。又、鳥インフルエンザの流行やトルコでは数万人の死傷者が出た大地震が勃発しました。そして、経済を観ますと世界情勢の悪化に起因する異常な物価高が続いており、決して安定した状況とは言えません。本年こそは、世界各国も我国日本も、筋道(方針・計画)をきっちりと立てて実行し、これ以上、戦禍が広がることなく世界が平和であることを願うばかりです。