「ダイエットについて」 皆川 祐一 会員
師走に入り、一年で最も忙しい時期になりました。忙しくしておりますと、さらに忙しくなるようなことが舞い込んでくるのが不思議です。というわけで、卓話の準備が不十分でございまして、本日は私が興味を持っていることの1つ、ダイエットについてお話したいと思います。
まず、ダイエットの指標の1つにBMI(Body Mass Index)があります。BMIは体重(kg)を身長(m)で2回割った値です。このBMIの値が18.5未満ですと痩せ体型、18.5~25で標準体型、25以上になりますと肥満体型となるそうです。このBMIからの逆算で、ダイエットの目標となる体重を設定することができます。標準体重、これは理想体重とも呼ばれていますが、BMIが22になる体重で、統計的に最も健康的であるとされ、死亡率や病気のリスクが低いとされる体重です。BMIが20になる体重は、美容体重と呼ばれており、一般的にスタイルが良いとされる数値で、健康よりも美容に重きを置く人向けの体重です。また、モデル体重というのがあるそうで、これはBMIが19になる体重でモデル並みの体重だそうです。BMIの目標値を設定して、それに向けてダイエットに励むのもよいと思うのですが、ただし、BMIにはいくつかの欠点があります。それは筋肉量、体脂肪率、身体の水分量が数値に反映されないこと、また身長が高いほど数値が大きくなることです。したがいまして、BMIの数値と体型とが必ずしも対応するとは限りません。
次に、ダイエットの指標の他の1つとして、体脂肪率がよく知られていると思います。体脂肪率は、体脂肪量(kg)を体重(kg)で割った値に100を掛けて百分率に換算した値です。ある判断例では、30歳以上の男性では、25%以上が肥満と判断され、30歳以上の女性では、30%以上が肥満と判断されるそうです。ところで、体脂肪率はどのようにして測定するのでしょうか。最も身近な測定方法は、体脂肪率計を用いる方法ですが、これは最も簡易な測定方法でして、正確には別の方法で測定されます。レジュメに記載しております、水中体重測定法ですが、これは水中に全身を沈めて水中にある体重計で体重を量り、大気中での体重との差から体積を求め、大気中での体重を体積で除して身体密度を計算する方法です。水中に全身を沈めたうえ、さらに呼気をすべて吐き出した状態で測定するため、被測定者の負担が大きいです。空気置換法は、密閉された装置内に入り、空気の圧力変化から体の体積を求め、身体密度を計算する方法で、この方法は、大相撲力士の体脂肪率の測定に用いられているそうです。二重エネルギーX線吸収法は、二種類の異なる波長のX線を全身に照射し、その透過率の差から身体組成を計測する方法で、本来は骨密度を測定する方法ですが、体脂肪量や筋肉量の測定精度も高いそうです。そして、これらの測定方法から集めたデータに基づいて、身体に微弱な電流を流して取得される生体電気インピーダンスから体脂肪率を算出するのが、体脂肪計の機能です。そのため、体脂肪計では、体脂肪率を正確に測定することができず、あくまで推定値となるため、体脂肪計で測定される体脂肪率は、メタボリックシンドローム診断には採用されていません。また、体脂肪率からは生活習慣病と関連性の強い内臓脂肪量が不明なことも、体脂肪率がメタボリックシンドローム診断に採用されていない理由でもあります。メタボリックシンドローム診断では、内臓脂肪量と関連性が高い腹囲が採用されています。
今回の卓話はこのあたりで。次回続きをお話したいと思います。