「もう一つのアジア 貧困の現場にて -日本の役割を考える-」 ゲストスピーカー 村上 公彦 氏 (北谷 俊貴 会員 ご紹介)
ゲストスピーカー 公益社団法人アジア協会アジア友の会 専務理事・事務局長 村上 公彦氏
本日は、貴クラブ入会後、実質初めての卓話の当番となりました。
本来ですと、私自身が卓話を務めるのが本筋ではありますが、ロータリークラブ様同様に奉仕の精神で、誰もがどこで生まれようとも『生まれてきて良かった』と思える「貧困なき国際社会の実現」を目指して国内外で活動している国際ボランティア団体が大阪にありますので、その団体の創設者をゲストスピーカーとしてお招きしてお話をいただくことにしました。その団体とは、公益社団法人アジア協会アジア友の会で、略称はJAFS(ジャヤフス)といいます。JAFSは、1979年に日本基督教団寝屋川教会の牧師で村上公彦氏(現在 専務理事・事務局長)の呼びかけで、ライフラインが未整備なアジアの発展途上国に「命の水」を提供するために井戸を掘る運動として発足しました民間国際協力援助団体(NGO)です。
約40年前に村上氏がインド留学中に、住民が泥水を生活水として利用する光景を目の当たりにし、村上氏自身、腸チフスにかかり体を壊してしまいました。それで、「地域住民に安心して飲める水を提供したい」という思いに駆られ、井戸を掘ることを思いついたのが、本団体活動の発端であります。「井戸堀り」に始まり、現在、JAFSではアジア18ケ国 69地域に現地提携団体を持ち、これらのネットワークを通じてアジアの貧困問題やさまざまな社会問題に取り組んでいます。主な活動内容としましては、水事業(井戸、飲料水供給)、こども事業、貧困対策事業、環境事業、国際交流事業、サイクルエイド事業、等です。2012年4月には内閣府から認可を受け「公益社団法人」となり、常時15名程のボランティア精神のある方が集まって事務局を運営し、精力的に活動されています。当活動の一つでありますフィリピンのパイプラインについては、以前に中学校の社会科教科書「公民」でとりあげられたこともあります。
本日は、そうしたJAFSの活動の一端をご紹介すべく『もう一つのアジア 貧困の現場にて -日本の役割を考える-』と題して、現在のインドやネパール、フィリピン等の国々の貧しい村を訪問し、現状をカメラに収めた数々の映像をお届けしながら、アジアの貧困について考える時間としたい。最近では、日本国内市場の活性化をもたらす一因となった、外国人観光客による「爆買い」。インバウンド市場の拡大で、日本市場が活況を呈する一方で、新興国を中心にアジア諸国では貧困の格差が益々増大しているのが現状である。学校に行きたくても行けない、ご飯を食べたくてもお金がなくて残飯を物乞いする子供たち、ゴミ集積所から利用できそうな物を探す姿、性の奴隷となり未成年にも蔓延するエイズ。そうした貧困社会の反動で、世界各地で暴動が起き、テロを誘発している現状を忘れてはなりません。本日の卓話を通じて、こうしたアジアの貧困社会を直視することで、私たちの日々の生活がいかに快適で恵まれているかを再認識していただくとともに、日本としてどういう役割を果たすべきか、そして一人の日本人として個々に何ができるかを自問自答するきっかけになれば幸いであります。そして、当会の活動に共感する方々には当会活動にも参画していただき、国際ボランティア活動の根が広がりましたら理想であります。
なお、公益社団法人アジア協会アジア友の会について、詳しくは下記ホームページでご覧いただけます。
http://jafs.or.jp/about/ 「アジア協会」で検索可能。
<ゲストスピーカーのプロフィール>
村上 公彦(むらかみ きみひこ)氏
1941年生まれ。日本基督教団寝屋川教会牧師。同志社大学神学部大学院修士課程修了(神学修士)。
その後、インド・バンガロールU.T.カレッジ研究科、スイス・ジュネーブ大学エキュメニカル研究所留学。
帰国後、国際ボランティア組織“エポスクラブ(平和を作り出す人)”結成。1979年にNGO団体、アジア協会アジア友の会(JAFS)
を設立。2004年には、タイ国立ランパーン ラジャパット大学より名誉学術博士号を授与される。
(文責 北谷 俊貴)